タイのリゾート地といえば思い浮かぶのはプーケットだが、観光地としてはあまり知られていない場所にホアヒンがある。バンコクから車で3時間ほど南西に進んだ海沿いの街だ。
なんでもホアヒンという場所はタイ王族のための保養所のある場所、とのことで静かにのんびりリゾート感を楽しみたい人に密かな人気があるのだとか。今回、ツアーの一環で訪れることになるまでまったく聞いたこともない地名だったが、せっかくのリゾート地ということでリゾートらしく、ホテルでのんびり過ごそうという贅沢な予定しかたてていなかった。
泊まったのはアナンタラ・ホアヒン・リゾート&スパ。ホアヒンの中心部から少しバンコク寄りにあるホテルで少々交通の便にめんどうさはあるものの、全体的なつくりや施設の様子はまさにリゾートホテルならではといった様子。
普段あまりリゾート観光地に行くこともなければリゾートホテルに泊まることもない適当な旅ばかりしている自分にはもうホテルの雰囲気だけで最高に最高だった。あーリゾートってこれだよね、これ。
通された部屋は1人で泊まるのが後ろめたくなるほどのリゾート感あふれる空間で、無駄にテンションが高くなってしまった。うひょおおおりぞおおとおおおお。
1泊の予定だったので昼過ぎにホテルについたあとは、ホテル内のビーチでぼんやりして、木にかかっているハンモックでぼんやりして、スコールがきたのでプールに移動してプールサイドのバーでぼんやりして、ああリゾートって最高だなとしかいえないぼんやりライフを満喫した。
あくる日にはもうバンコクに帰る予定で、まぁ近場の観光スポットでもそれとなくみてバンコクに戻ろうと思っていた。その日の夜にバンコクのお店にご飯の予約もいれてしまっていたし、せっかくのリゾートだから無理せずのんびりしようという目論みだ。ただどうやら神様からそんなのんびりで終わると思うなよという喝をいれられた、かどうかはさだかではないが、偶然にもホアヒンにある洞窟に宮殿があるという情報を聞いてしまった。洞窟にある宮殿。そんな夢とファンタジーがひっつまったキーワードを聞いて動かずにいられることができるだろうか。いいやできない。のんびりぼんやりリゾートライフはあっという間に終わりを告げた。
次の日。ホテルのおいしいブッフェで朝ご飯をきちんと食べ、身支度を早々に整えてチェックアウト。
荷物をフロントに預けタクシーを呼び、目的の宮殿があるプラナコーン洞窟があるカオ・サムローイ・ヨード国立公園に向かう。
ホアヒンの中心部から1時間とちょっと車を走らせてやっと公園に到着。タクシーは時間で契約していたので、これから2時間後に戻ってくるからそれまで待っててと伝えそこで一旦お別れ。ここからタクシーを呼ぶのは至難の技なので時間契約をしておくか自分で運転してくるかのどちらかがおすすめだ。ホテルで呼んでもらったタクシーは送迎、待機込みで1800バーツだった。
公園の駐車場近くには土産物屋やご飯屋さんが並んでいた。その横の道を進んでいくと何やら受け付けっぽい小屋がある。
洞窟に行きたいんだがどう行ったらいいかと受付のお姉さんに聞くと、受付すぐ脇にある山道を進んでいく方法と、ビーチから出ているボートにのって山を1つ迂回して行く方法と2つあるとのことだった。ラクなのはどっち?と聞くと、ボートに乗った方が絶対いいよといわれたので迷いなくボートを選択。ここで公園の入場料200バーツとボートの往復料金200バーツを支払う。支払うとそれぞれ入場チケットと、ボートにのるための数字が書いた札を渡される。ちなみにこの札に書かれている数字には意味がない。いや本来はあったのかもしれないが、そこまで厳密に数字をチェックされることはない。札があることだけが大事なのだ。
支払いが済むと受付横でのんびり待機してたおばちゃんがトランシーバーでどこかに連絡する。手招きされて、ビーチについてるボートに乗れといわれる。また、ボートに乗るのに靴をぬいで服の裾あげる必要があるけどいい?と聞かれる。ていうかそういうのは支払う前に聞くものでは、と日本人的にはツッコミたくなるとこだが問題ないと伝えてビーチに進む。
ビーチはただただ本当に砂浜で、こう、脳内で想定されるボート乗り場のようなものは微塵もない。ただ浅瀬にいくつかのボートが浮いているので手招きしてくれるボートに向かって靴をぬぎ、服の裾をめくりあげてじゃぶじゃぶと海の中をつきすすむのだ。170cmの身長で膝下くらいのところにボートがいるので、そこからよいしょと乗り込む。一応ライフジャケットを渡されるので一応つけて、出発進行。ボートは案内してくれる人と運転してくれる人の2人のスタッフがおり、案内してくれる人がボートの方向転換を人力でしたりするなんともゆるいかんじがまたいい。
5分ちょいくらいボートにのり、山向こうのビーチに到着。ここでまた海のなかに降り立ち、ボートのおっちゃんたちにお礼をいってじゃぶじゃぶと進む。海のなかの砂はやわらかくてきもちよくて歩くのもわりとたのしい。ビーチに着くとどこからともなくおばちゃんが現れてさっき買ったチケットを渡した。
こちらはまさに保養所のビーチという体で、品のよさそうな旅行者っぽい家族が海辺で遊んでいたり、のんびりしていたりといい雰囲気だ。そんなふうに誘惑されながら洞窟への向かうルートを探す。
山を1つ省略はしたが洞窟につくまでにはまた小さな山を超えていかねばならない。あまり山登りする派ではないが、これでも神津島や小笠原諸島の山をトレッキングしたことはあるのだ。山をなめたりなどしない。というわけで、だいじな水分をビーチ横のお店で確保。そばにお手洗いもあるのでいっておいた方がいいだろうが、タイ的なお手洗いなのでそういうのが苦手な人は事前にすませておいた方がよさそうだ。
洞窟に向かうルートには立て看板があり、まっすぐ進めということのようなのでまっすぐ進んでいった。
まぁ辛かった。はぁはぁした。帰ろうかとおもった。なんでリゾートを満喫する方向にしておかなかったのかと悔やんだ。体力なんてなかった。結構な凹凸のはげしい岩をのぼっていくようなルートだったが、それなりに道としては整えられているので普段運動している人ならあまり大変すぎることはないはずだ。普段運動していれば。ただ当たり前だがサンダルでのぼるような場所ではない。おそらくビーチ気分でそのまま登ってきたのであろうサンダルをはいたお姉さんたちを途中途中でみかけたが、辛そうに休んでいたり、なかには裸足になって進んでいる人もいた。虫も多いし岩肌も尖っていたりするので運動靴でぜひきてほしい。
山の中腹あたりにはビューポイントもあり、ホアヒンの海の様子をのんびり眺めることもできた。
ある程度まですすむと途中から下り道になる。下り道を進むとまた立て看板があり、その先の洞窟の案内が書いてあった。
そこから先はさっきの疲れがふきとぶくらいのわくわくする光景が広がっていた。
まず最初に出迎えてくれたのは大きな鍾乳洞。まるで大きな恐竜の歯のような迫力がある。
さらに大きくゴツゴツした岩のすきまを進むように、地下へとくだっていく階段を降りていくと先の方に明るい場所がみえる。
洞窟に降り立ち見上げるとそこには2つの大きな天窓が。
日のあたるそこだけ生い茂る木々がまるでつくられた箱庭のようにみえる。
その反対には削れた岩がごろごろと転がり、海賊がここに宝物を隠しているといっても信じてしまうような雰囲気が漂っている。
さらに洞窟の奥に進む。
また奥に明るい場所があるようだ。
開けた場所に進むとそこには、目的のクーハーカルハット宮殿が!
まわりの音がすべて洞窟にすいこまれて自分以外からなんの音も聞こえない。なのにまったく自然で、苦にならない静寂。きもちが落ち着くというのはまさにこのような状態なのだろうなと体感させられてしまう。
宮殿の目の前だけくぼみができており、ここに多くの人がきて祈りをささげていったのだと物語っていた。
さてここで勝手にミステリーハンター気分で問題を。なぜ、こんなところにこんなものが建てられているのかわかるだろうか。
この洞窟は約200年前に発見され、当時の権力者ラマ5世も訪れたとのこと。その際にあまりにも美しい場所だったため、この記念堂が建てられたということらしい。なるほど、王族御用達の地にある洞窟は伊達ではない。
時間帯によって日のあたる場所が異なるようで、時間の許す限りここにいられたらと思わずにはいられなかった。なんだかんだ12:30〜13:00くらいの間その場所を堪能した。
宮殿のある場所が洞窟の一番奥にあたる広場で、その広場の周りにもいくつも興味深い自然によってつくられた造形物があり、これを1つ1つじっくりみていると本当に時間が足りなかった。
なごり惜しくも、洞窟をあとに。
ビーチからスタートした行きの山道は40分くらいかかったが、帰りは道がわかっていることもありサクサクと進んで20分程度で戻ってこれた。汗だくのヘロヘロで手にしたコーラのおいしさといったらない。
帰りもまた同様にビーチにとまっているボートへ。ボートに近づこうとするとビーチ横の建物にいるスタッフから最初に渡された札をだせ、といわれるのでそこで渡してから乗り込む。海風がきもちいいのでなんだったらボートで周遊でもしたいところだ。
砂の感触を楽しみながら足をふいて駐車場へ。待っててくれた運転手と合流してタクシーでホテルまで連れてってもらう。自分で運転してここまでくるのもいいが、運転してくれる人がいると車でおもいっきり休めるのでありがたい。
ホテルで預けてた荷物を回収して(たぶんタクシーに預けておいてもよかったのだろうが、一応盗難防止のためホテルに預けていた)、そのままタクシーでホアヒン中心部にある乗り合いミニバンの出発地点まで連れてってもらった。15時発のミニバンにすべりこみ、ホアヒンをあとに。リゾートとして楽しむのはもちろん、また自然を色んな形で体感できるホアヒンはたしかに派手さはないものの、じっくりと休暇を味わいたいときにいい街だった。
このエントリーはタイ国政府観光庁(TAT)主催の企画ツアーに参加したレポート記事です。
ツアー参加時に #アメージングタイ でTwitterでリアルタイムレポートもしています。