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川崎フロンターレ市制記念試合に市民1,000組2,000名を御招待!にwebフォームがないことによる効果

小学生の頃、7月1日はディズニーランドに行く日だった。東京都民にとっての10月1日がそれであるように、川崎市民にとっての7月1日は川崎市制記念日である。
というわけでどうやら7月に市制記念の試合が行われ、その試合に市民2000名を招待する企画が発表された。


川崎市:川崎フロンターレ 市制記念試合に市民1,000組2,000名を御招待します!


さてこのページをみて自分が一番最初におもったことは「webフォームがない」ということだ。自分自身がwebの仕事に携わってることもあるだろうが、それ以上にスマートフォンでこんなあふれた世の中でオンラインでの申し込みがないなんて、とちょっと裏切られたきもちになる。


しかし落ち着いて考えてみると川崎市としてはこれはこれでいいのかもしれないとも思う。
パソコンやスマートフォンを使いにくいユーザーをも対象にしているからと、そういったアクセシビリティの話では今回なく、もっと即物的なモノとヒトのはなしでだ。



今回の企画に応募するためには往復はがきにそれぞれ以下の項目を記して送る必要がある。

  • 送信用:氏名(ふりがな)、年齢、電話番号
  • 返信用:応募者の住所、氏名


応募を完遂するために必要なフローを書き出すと

  1. 近くのコンビニや郵便局に行き往復はがき(124円)を購入。(ついでに何か飲み物も買うかもしれない)
  2. 家に戻りはがきに必要事項をペンで記入。(なんだったらペンのインクの出がわるくて新しいペンを買うかもしれない)
  3. 近くの郵便ポストまで郵便物をだしにいく。(せっかくなので近所を散歩して帰るかもしれない)


ということになるとおもう。
webフォームだと瞬間的な電気代とネット代と指の動きだけで終わるものが、はがきというツールを選択したことでこんなに物流と熱量を使うものになる。またそれ以上にそれをきっかけについでにさらにその消費が追加される可能性まではらんでいる。


そしてこれらの応募されたものは企画運営をしているところに集められ最終的に人の手によって1000通も選び出す作業が行われる。webフォームによって集められたデータの中からランダムに重複なく1000組分選ぶのとはわけの違う作業になる。ここでもまたモノとヒトがあちこち動くわけだ。



ここまでただただ書き出すと「それってむだ多いのでは」と感じるのは間違いではない。はたからみて効率がわるい。だがこれを企画したのは川崎市だ。企業ではない。企業の企画のひとつならむだをはぶきwebフォームで募集し回転率をあげ盛り上げをはかるほうが間違いなくいい。なぜなら企業は企業としての利益を求める集団だからだ。
しかし市区町村はそこに暮らす人々のための仕組みであって、利益そのものを追い求めるための集団ではない。となると、より様々な消費活動を促進する(仕組みの活性化の)ための選択肢をとるのはむだなことではないように感じる。


数年前にすこしバズワードになったクールジャパンも、あれはモノとヒトを動かし日本のなかでお金が動く風をいれる活動のひとつであった記憶だが、それ自体の活動が表立って聞かなくなったところで「モノやヒトが活発に動くような世の中であるといい」というのは基本かわらないことだろう。


その考えの流れでいくとはがきでの応募を受け付けることによって、1000人以上の人たちへはがきを買ったり書いたり出したりする行動を促すことになるので、川崎市の選択としてはわるくないんじゃなかろうか。


まぁものすごく正直に身も蓋もなくいってしまうとはがきでもwebフォームでもどっちも受付てくれたらとってもよかったのになぁとはおもう。Googleフォームでだって問題ない。ただそういうのを気軽にできない体制だったり、そういう環境にないなにか制限があるのかもしれない。ただ純粋にwebフォームの知識の問題であったら、もうそれくらいならいくらでも気軽に相談してくださいと申し伝えたい。


明日は往復はがきでも買いにいこうかな。