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なんで最後がマリじゃないとダメだったのか。 #シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を劇場で都合3回見終えたところで、最初見たときからずっと気になっていたことが1つ自己解決、自分なりの解釈できたので脳内整理のために書き残す。


念のためにだが、この記事にはネタバレしか含まないので、まだ全然ネタバレNGだよという御仁は読まないようご注意ください。


「待ってなよ、わんこくん」

え?なんで???
なんで待ってなきゃいけないの???
てかなんでマリが迎えにいくの???


というのが、劇場に見に行く前、劇場版公開当日の日付変わった最速配信を見たときからずっと謎だった。
「待ってて」とはどういうことだと。


まぁたしかにマリがパリ市街上空で作戦をこなしていたとき、シンジはアスカとレイと共にどこか行方知れずになっていたので、その文脈での「待ってて」というのはわからないでもない。というか初見では、そういう意味以外ないよな?と思っていたけど、見れば見るほど「待ってて」というマリの気持ちが理解できなかった。


例えばマリが恋愛的な意味でシンジを好きなんだったんだとしても、どうしても「待ってて」という言葉がしっくりこない。
大体、村から帰ってきたアスカに対して「シンジとの進展はどうだった?」と楽しそうに聞いていることからも、やっぱり正直あの時点でマリがシンジを恋愛的にみているようには見えない。


友情からでも恋愛感情からでもない「待ってて」に、他にどんな意味があるんだろうという疑問をなかば解決することを諦めていたが、薄い本をもらいに劇場に訪れた3度目で、やっと自分の中で納得のいく感情を見つけられた。


これは、保護者感情だ。



子供に必要なのは母親

そもそも今回のシン・エヴァにおいて「親」という存在、保護し無償の親愛を注いでてくれる人というかけがえのない存在は大きな要素だろう。まぁそこらへんはよっぽど他の人の考察見てもらった方がよいと思うので、言うことはない。


それを踏まえて、マリの「待ってて」という言葉において状況とシンジとの関係性から1番しっくりきたのは、大人が子供に「迷子になっても必ず探してあげるから待っててね」と投げかけるシチュエーションだ。
子供は迷う。しかし迷った後、自力で迷子状態から抜け出すのは子供にとってかなり大きなハードルだ。むしろ自力でどうにかしようとすればするほど迷子になる可能性ですらある。だから大人は子供に「迷子になったら待っててね」と伝えることがよくある。


保護者感情からくる「待ってて」だった場合に、自分の中で様々なことが納得できた。
だってどうみてもシンジは迷子だった。ずっと。


もちろん、迷子から抜け出せたのはマリだけでなく様々な人の助けあってこそだ。
そうでなければゲンドウと向き合うことはできなかっただろう。


ただ1つ、最後の最後にマリにしか迷子の手を引っ張れないシーンがあった。
それはマリがゴルゴダオブジェクトの虚構の中にシンジを迎えに行った、あの最後のシーンだ。


「エヴァがなくてもいい世界」を作るには

父ゲンドウのやらかしたことに息子として責任をはたそうとしていたシンジだったが、結局は母ユイに救われる形になっている。
となると、次やることは「エヴァのない世界を作ること」だ。ゴルゴダオブジェクトではそれが可能(世界を書き換えることができる)だから、エヴァのない世界もできる。やり直すんじゃなくて「エヴァがなくてもいい世界」を用意することができる。


でも、ここで1番の問題は、シンジが「エヴァのない世界」「エヴァがなくてもいい世界」を知らないことじゃないだろうか。


シンジが物心ついたときにはすでにエヴァがある世界だった。
むしろエヴァありきで、シンジもシンジの周りの人も形成されていた。人生の要の要みたいなものである。
その要が「ない世界」「なくてもいい世界」を、シンジが用意できるだろうか。
だからここでシンジはまた迷子になっていたんだと思う。エヴァのない世界、なくてもいい世界がわからなくて。


でもそこに来たのがマリだ。
少なくともエヴァがない世界を十数年は生きてきてるはずのマリだ。
マリが迷子のシンジの手をひっぱったことで、やっと、エヴァがなくてもいい世界が完成した。
これがアスカでもなくレイでもなく、エヴァのない世界を知っているマリだからこそシンジの手を引っ張っていけることができたんじゃないだろうか。


「待ってて」の意味、マリの目的。
それらがなんとなく「保護者感情」ありきで考えると自分の中でとてもしっくりきたのだった。


というのが3回目の劇場視聴をもってして得た自分なりの回答だ。



余談

終わりのシーンで、シンジはマリの手をとって駅を飛び出していった。
マリにかわいいね、ともいった。だからシンジとマリは恋人関係である、という解釈があるが、まぁ全然そうおもってない派である。


いや、最終的にあの「エヴァがなくてもいい世界」においてマリとシンジがくっつかないかといえばそんなことはないんだが、少なくともあの時点では、手をとったのも、褒めたのも、シンジの成長を示す(迷子じゃなくなった)ものであって別に恋愛云々じゃなかろうと。


最終的にはくっつきそうな2人にしろ、あの段階でもしくっついてたなら駅出たあと走って行くシーンだって手を繋いでたと思うんだ。だいたいCV:神木くんという時点で天然たらしキャラであることは確定演出じゃないかよ!というきもち。


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