もうこれまでに何度見返したかわからないくらいに繰り返し見た『プラダを着た悪魔』。
何回見てもアンディが可愛く、きれいに、格好良く成長していくところは爽快だし、ミランダの下で働きたくないけどミランダと働きたいという矛盾した想いを味わい尽くしながら20年やってきた。
ただ当時からなんとなく感じていて、20年繰り返し見るたびに積み重なってきた「わだかまり」があった。
それを解いてくれたのが『プラダを着た悪魔2』だった。

※本記事はネタバレ感想しかございませんので、ご留意ください※
20年に積み重なったわだかまり
- アンディはランウェイを離れて何を得たの?彼氏はどうなったの?
- エミリーはどんな成長をしたの?
- ナイジェルはあの事件の後、ミランダとどう過ごしたの?
- ミランダは現代ではどう扱われるの?家庭はどうなったの?
わだかまりをリストアップして振り返るに、自分が気になっていたところは結局それぞれが「幸せになれたのか?」なんだと思う。
前回のストーリーは、少なくともハッピーエンドな終わりではなかった。漫画の読み切りを読んだような読後感というか、「まだまだ俺たちの戦いはこれからだ」という未来にあらゆる可能性が秘められた終わりだった。
国語の授業のように「彼女たちはあの後どうなったのでしょう」と考える余地を大きく残して、それを自分は勝手に「幸せになったに決まっている」と断じてきた。
でも2が出るとなれば、「その後」を完膚なきまでに知り尽くしたい。
アンディはランウェイを離れて何を得たの?
主人公のアンディは自分よりもいくつか年上で、20年前の映画から自分が「そうでありたい」と憧れるに十分な身近な人生の先輩であり、「そうはなりたくない」と反面教師的に学びを得られるキャラクターだった。
当時のアンディは、なんだかよくわからないタイミングでランウェイを離れてジャーナリストとしての道を歩み始め、どうでもいいつまらない彼氏(主観)との関係を繋ぎ始めたところで終わった。フランス出張で「ゆくゆくは私みたいになるわ」と非道街道極まるミランダに言われて「そんなことはない」と車に乗らない選択をするのは、20代前半の勢いならでは感だけど、まぁもう少しやりようあるよねとは思う。ミランダが大人な対応をしてくれたからその後の就職なんとかなったけど、あれ怒られても無視されても仕方ないやつよ?
まぁ2が始まるとなれば、当然この20年どう生きてきたのか気になるところだ。あのつまらない彼氏との関係性も含め。
結果、つまらない彼氏は2でトークとしてかすりもしない存在でしかなく、アンディはランウェイで自分の見せ方や仕事のやり方を学び、あちらこちらで自分のしたい仕事に積極的に活躍して、社会の波に巻き込まれながら、またランウェイに戻ってきた。身につけた揺らがないスキルと、信頼できる仲間と共に。
ランウェイに行かなくても、もしかしたらジャーナリストとして大成功していたかもしれない。ランウェイに行かなかったら、あの彼氏と結婚してたかもしれない。子供もいたかもしれない。
でもランウェイで働いたあの期間があったから、きっと画廊で働く道は選ばなくてよかったし、どうでもいい彼氏と結婚しなくてよかったし、またランウェイで新たな道を開くことができたのは間違いない。親友のリリーとも変わらず仲良しで嬉しい。
ただ、きれいな水が最初から出ないマンションに住むって何事なの?NY感覚?そこだけわからん。最終的にいいお家といい彼氏のハッピーセットでよきかな。
そして「正しい状態かどうかを気にするのではなく、自分達が良いと思う選択をしよう」という答えを出してくれたのは、自分にとってまた1つ、人生の先輩からの学びとなった。
エミリーはどんな成長をしたの?
エミリーが出演することは予告で知っていたけど、まさかのブランド側ー!!!!!!
ただ、てっきり自分の意志でランウェイ離れてメーカー側に行ったのかと思ったけど、そうじゃなかったのはちょっと悲しい。悲しいというか、まぁ仕方ない。向き不向きがある。
それでいうと、この20年。アンディはスキルを培いコンコンと己の目指すものに向けて成長してきたのに対し、エミリーはどこかで成長が止まってしまったか、止められてしまったというコンプレックスがあるのだろうな。
コンプレックスを抱えながら、その大きな要因のミランダと、順調に成長して自信たっぷりに本来は自分がいたかった場所にいるアンディとの再会よ。うーーーわ。悪夢かな?これあのフランスの続きですか?そうですね、続きでした。2ですものね。
嫌な元上司たちに上から目線でオーダーできるなら、どんなにゴネられても力押しで黙れっていうよねー。魚市場って表現、最高にクール。
アンディが結婚せずに子供もいなくて1人で自由に生きていることも、彼女にとってはある意味、コンプレックスに感じることなのかもしれないな。
あと小売側がなんか下に見られてる感が解せぬってかんじなんだけど、決してミランダは下に見てたわけではなくて、リスペクトを込めて「エミリーにはそっちの道が向いているよ」と提示してくれたと思うんだよなー。エミリーがコンプレックスで見えてなかっただけで。
そのコンプレックスを埋めてくれるのが、お金持ちでラブ万歳の彼氏だったわけでしょう。自分が好きかどうかではなく、自分のコンプレックスを埋めるための存在。だから最後、あっちが離れていったと言ってたけど、きっと気づいたんじゃないのかな。自分は彼女のコンプレックス以上の存在にはなれないということに。まぁ元嫁に邪魔されて不甲斐なかった説もある。
だから中盤でアンディとエミリーが手を取り合ってランウェイ救うみたいなムーブは胸が踊った!コンプレックスの解消して友情が芽生えたのかなって。
でもまさかのここで裏切りっていうね!
でも、最後の最後で友達になりたいっていうエミリーはとっても可愛くて素敵な人だった。そうそう、そんなあなたこそが、あれだけツンケンしてるキャラでも自分たち観客が大好きになってしまったエミリーなんだよね。そのままのあなたが大好きだ。
ナイジェルはあの事件の後、ミランダとどう過ごしたの?
もうここで最後のエンディングの話を言ってしまいたいのだが、ナイジェル〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!
ナイジェルのアンディへの愛がいとおしすぎて涙が出た。ランウェイの危機に、秘蔵っ子として危機に召喚しようと思うなんて、愛以外のなんだ。
でもこれって待って、どっちが先なんだろう。もちろんランウェイの炎上記事が出るのは先に知ってたとして、その対応はなんらかとらなきゃと思ってたはずだよね。そこにもしかしたらアンディが職を失う前から、ちょっと助けてもらうこと考えてたんじゃないかな、なんて。思ったりしちゃって。
きっとこれまでもアンディの活躍、さりげなくチェックしていてくれたんだろうな。ミランダ関連の記事チェックする流れで当然のように、きっと目に入ってたよね。そして歴代の付き合った彼氏は読んでくれなかった連載だって、きっとナイジェルは読んでくれてたんだろうな。愛しか感じないぜ。
アンディがナイジェルに、当時の事件の後も何故寄り添っていたのか聞いたシーンで、「それよりひどいことが何万回もあった」と言っていて。本当に何万回もあって、アンディと自分達が見たその何万回分の1が、あの事件なだけだったということだよね。
そして今回の映画を思い返すと、アンディが「ランウェイが縮小されちゃう!」って訴えてるときにブレないのも、そんな危機がこれまでになんだかんだまぁまぁいっぱいあったからなんじゃないかな。だから騒いだところでどうにもならないし、やるべきことをやろうという、彼の中の自信でありスキルであり、誰にも譲れないものだよね。かっこいいなぁ。
そして!とうとう!あの!事件を!フォローしていただけるような感動的なシーンがきちゃいましたね。もう感動しかない。ブレラ美術館が彼のために用意されたステージに見える。いや、彼自身が作ったステージなんだけどね、まごうことなく。
あ、そういえば最初にアンディがランウェイに久々に来た時、すごく嬉しい顔して「ミランダも了承して雇われたのかと思った(ミランダに認められて嬉しい)」だったけど、それ実は結局は「ナイジェルが認めてくれてた」ってことか。うわ〜〜〜〜〜〜????????改めて泣きそう。
ミランダは現代ではどう扱われるの?家庭はどうなったの?
ミランダの発言は映画見てると「面白い」で済むんだけど、現代のコンプライアンス意識で判断すると1000%NGなんだよね。もう何から何までダメ。フィクションだとしてもダメ。
あの新たにCEOになった男性も「Hey, guys」をなんども「People」に言い換えてたの、ジェンダーニュートラル意識だよね。昨今ディズニーは「Ladies and gentlemen〜」に戻したらしいけどね。Guysでいいってもう、言いなおすなと何度か思ってしまったね。
さてはて。2では結構しっかりがっちりミランダのお仕事のあり方は改善されまくってて、時代の流れってすごいなと思ったね。ミランダでもやるんだから、みんなやらなきゃだめだね。
でも第2アシスタントがブラック進行なのは相変わらずだし、ミランダの魂は変わってなくて、ある意味ホッとしたよね。
そんな良くも悪くもなんも変わってないどころか、ますますミランダofミランダになった彼女のご家庭はというと。まさかの素敵な若いパートナーがいらっしゃる!!しかも仕事への理解も深い!うおおおおめっちぇええやんんんん。
いやね、過去見てモヤモヤしたのは「家庭を省みずに仕事に生きた女の家庭なんて幸せにならんよ、犠牲にするもんだ」みたいな当時の形式美がそこにもあったと思うわけです。まぁそれもわかるんだけど。
そしてそのことをミランダはよくよく自覚しながらも、仕事を愛して愛して愛したうえで、その仕事を愛してるミランダごと愛して側にいてくれる人と出会えたことが、何より素敵なことなんですね。出会えるのは奇跡のようなものだと思うけど、でも、いつも愛にあふれてるミランダが愛に包まれていて本当によかった。
アジア人差別なんてどこにもなかった。映画を見よう
個人的に大好きな「エレメンタリー ホームズ & ワトソン in NY」のワトソン役をしているルーシー・リューさんが、まさかのご出演!?!?!!!!聞いてないよありがとう!!!!!!!!!!
プラダを着た悪魔2の宣伝動画がSNSに流れた時、アンディの隣にメガネの背の低めなアジア人の女の子が出てきて、SNSでは「アジア人差別だ」と騒がれたけど、もう映画見たら全然そんなことはなかった。
そもそもルーシーの役どころ見てよ。あんなにしがらみから解放された女性の象徴として描かれてるのよ。また1つの憧れるアイコンそのものなのよ。もっと話に絡んできてほしかった気持ちもあるけど、今回はあくまで前作からの続編だから彼女のシーン増やしちゃうと各キャラの大事なとこ見られなくなっちゃうもんね。優先順位の問題あるね。
そもそも、20年前のランウェイはルッキズムでしか成り立ってなかったから「服のサイズいじり」なんてものもあったわけで。スレンダーな、まともにご飯を食べない女の子たちを中心とした会社だったのが、20年経って現代のダイバーシティを踏まえて、ルッキズムでは決して選ばれることがなかったような男性も第2アシスタントになったんだよ。それが素晴らしくない?
メガネのアジア人の女性の姿を見て「アジア人差別」っていう方が差別なんだよ。だってファッションは自由なのに「垢抜けた表現になってないように見える」って言ってるわけでしょう。違うんだよ。そこも自由なんだよな〜。コンタクト苦手だからメガネしてちゃダメなの?っていう。なので、映画をぜひ見てほしい。
あとただ言いたいだけのこと
- 有名人めちゃくちゃ普通に本人役でいっぱい出てくるやんけ
- 洋服七変化あるの嬉しい〜!今回はアンディだけじゃなくて4人全員変わってたからちょっと1回じゃ見切れない、もう1回見たい
- サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会でお食事会ってすごいな!!?!?!?
- ”最後の晩餐”にかけてるのも秀逸ぅぅぅ
- ミランダがランウェイを去らざるを得ないことを思いながら歩くシーンが、各種ブランド店がひしめくショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」なのエモすぎぃいい
- そもそもイタリアが舞台なのもいいよね。歴史と変革を感じさせるミラノ。今回のお話にピッタリ
『プラダを着た悪魔2』も、この先の人生で何度も何度も繰り返し見るのだろうなと映画を見終わったところで確信した。