akuyan to

イベント/旅行/デザイン/おいしいもの...

NICK THE LASTシーズンを追いかけ終えて、いま思うこと

仕事の予定を無理くり切り上げて急足で向かった2023年9月16日の宇都宮とのプレゲーム。
行けたとしても遅刻することがわかっていたので、いつもと違う2F席をとって、後半ギリギリ3Q終わる前くらいに滑り込んで到着したとどろきアリーナ。


プレゲームの後に出陣式があるということで、試合はさておき出陣式の選手のスーツ姿が少しでも見られればくらいの気持ちでいたのに、式が始まってからまもなくして会場が暗くなりビジョン全面にニックの写真が出て、周りが「え、そういうこと?」と言いながらざわめく中で何が「そういうこと」なのかわからず呆然と眺めていたら、唐突にニックの引退宣言が始まってしまった。

*

自分がそもそもニックのプレーを見たのは川崎ブレイブサンダースに初めて観戦にきた18-19シーズンの後半で、いうてビール目当てにきた適当な奴であったが、一緒にとどろきに来ていた友人がBリーグは見ていないけど、それなりにバスケ代表に知見があり「川崎の22番のニック・ファジーカスって選手は日本代表で、えぐいくらいシュート決める人なんだよ」というのを教えてもらったことを覚えている。


ゴールの上にある液晶の24という数字の意味もわからないまま、なんとなく試合を見てたら、なんとなく22番の人たしかにすごくたくさんシュート決めるねぇ、なんてふんわり話した。それが最初のニックの話題。

*

昔からのニックの偉業を知っている人たちに比べて、自分は全然なにもわかってないレベルでニックのすごさをバッシュの厚みほど知らないのだろうなということは、その最初の観戦から今に至るまでの間に身に沁みてわかった。過去の記事を読んだり、動画を見たり、選手が語るニックの姿を聞いたりして知るには知れたが見ていない彼が日本のバスケ界に、川崎のバスケにもたらした衝撃はたぶん永遠に実感としてわからなそうだ。

でも1つ言えるのは、自分の目で見てきたこの数シーズンだけでもニック・ファジーカスという選手は本当にすごすぎた。

*

自分が真面目にひたすらに「とどろきアリーナになるべく見に行こう」と決意したのはコロナの余波もまだ根深い21-22シーズンのことだ。「これはもう楽しいものだな」とBリーグもとい川崎ブレイブサンダースにハマりかけていたのだが、気持ちを新たに「もっとしっかり来シーズンは通おう」と決めたのが、その年だった。とはいえ、その時点で自分はニックのすごさをあまりよくわかっていない。ただ面白いと感じた川崎のバスケをもっと見たいと思っただけだった。


とどろきアリーナで観戦していく内に、ニックってなんなんだろうと思うことは度々あった。素人目にもわかりやすく点をとりすぎていたからだ。「今日あんまりニック活躍した気がしなかったな」と思った日ですら二桁の点数は当たり前にとっていて、当時は見られていなかったスタッツを見返せばアシストやリバウンドといった活躍も当たり前のようにしていた。


また川崎ブレイブサンダースというチームを好きになればなるほど、ニックという存在はただスコアラーというだけでなく精神的支柱としての役割が大きかった。自分はただの観戦している一般客だが、それでも発信される様々な要素、日々の試合の合間に見えるニックの存在を感じずにはいられなかった。

*

ニックの引退宣言を聞いて、篠山竜青さん、長谷川技さんといった長年共にプレーした選手の言葉を聞いて、覚悟を決めないといけないんだとおもった。ニックとお別れする覚悟を。


ただ、今日、いや日付が変わってしまって昨日、23-24シーズン全ての試合を終えた川崎ブレイブサンダースを見て、自分は全然ちっとも何も気持ちの整理ができてないままきてしまったのだなと思った。寂しい気持ちがやまない。


今シーズンで引退すると聞いても、シーズンは長い。それを聞いた9月から今日まで9ヶ月あった。
ニックがシーズン始まる前に引退宣言をしたのは、一人でも多く最後にニックの試合を見て、楽しんでほしい、日本のバスケをさらに盛り上げたいという、日本代表として日本のバスケに革命をもたらしたが1人であるが故の判断で、それはありがたいのだが。


ただ、いま、ここに至って思うに、自分はこのシーズンずっとずっとずっと、寂しかったんだなと気づいた。
ホーム・アウェー含めて、おそらく半数以上の試合を見に行ったし、なんだったら後半は行く予定のなかった平日アウェーゲームも仕事の調整をしてむりくり見に行った。
本来なら、このシーズンをかけてこの寂しさにケリをつけてニックを笑顔で見送るように気持ちの整理をつけるべきだったんだろうに、あんなにあんなに試合を見てきたのに、全然なんにも整理がついてない。なんでだよ。


もし仮に、最後を何かしらの称号で飾ることができたら気持ちが違ったのかといえば違ったとは思う。
でも別にそれは寂しさの解消になったかというと、そんなことは全然なさそうだ。


とどろきアリーナでの最終節、そして横浜BUNTAIでのRS最終節。
どちらもニックを見送る様々な想いに彩られていて、ニック・ファジーカスという選手の積み上げてきたものを教えてもらえているようだった。けど、全然寂しい。どうしたらいいんだろう。


いま願うことは、このシーズンかけて多くの人に「さようなら」を言い続けてくれたニックに、いい夜といい朝がきてくれますように。
寂しいよニック、本当に本当に、本当にありがとう

後から写真や文章は追加していきたいけれど、いまはまずこれだけ