akuyan to

イベント/旅行/デザイン/おいしいもの...

海と森にかこまれた廃校を舞台に人のいなくなった町が動き出していた

4月半ば、宮城県石巻市にある雄勝町というところに自分たちは来ていた。
数ヶ月前からサポーターとして関わることになった複合体験施設「モリウミアス」という建設中の施設をみに行くのが今回の旅の目的である。

DSC05583

東京から新幹線で1時間半ほどかけて仙台駅へ。そこから車を2時間ほどはしらせるとやっとこ雄勝町に到着する。新幹線よりも車に乗っている方が長いのだから、まあなかなかな長旅であることは間違いない。

DSC05385


そのままなんの目印もない道路をひたすらすすんでいくと、道路のわきにひょっこりと学校が顔をだす。これがモリウミアスの土台となる旧桑浜小学校だ。

DSC05798

2001年に廃校となり最後の卒業生も大人になって町から離れていった人も多い。しかし忘れることのできない2011年の震災をくぐりぬけて、それでも学校はそのままの姿で残っていた。そんな学校のもつ力強さを受け継ぎながら、2015年の夏オープンに向けてモリウミアスは建設まっただ中だ。

DSC05791



モリウミアスではその名のとおり、森と海にかこまれた雄勝町の豊富な自然を利用して、農業、畜産、漁業、林業といった一次産業とITを組み合わせて体験することができる複合体験施設だ。都心にいると一次産業に関われる機会はほとんどなく、実際にそれらがどういうものなのかを知らずに社会に出ることになる。知らなくてもできることはあるが、知らないとできないこともある。そうした何か新しいものの関わり方をしるきっかけをつかめる場所になっていくのだろう。

DSC05747

DSC05789


今回はまだオープン前のため、建設中のモリウミアス内で使われるウッドチップや川造りなんかを体験させてもらった。詳しい作業は公式ブログにサポーター仲間がのせているので、そちらを見てほしい。

MORIUMIUS(モリウミアス) サポーターブログ: モリウミアスづくりのお手伝い


DSC05473

DSC05478

DSC05460

学校の卒業生や、関東や関西から手伝いに来ている人たちにまざりながら、廃校をちょっとずつ手直ししていく。こうして新しい場所ができる過程に関われるというのも貴重な体験だ。


山間にある学校なので日中の明るい時間だけで作業をすすめ、暗くなる前に宿泊する雄勝アカデミーへと向かう。モリウミアスがオープンするとそこで宿泊できるようになるが、現在はスタッフの人も手伝いできている人もみんなそこに泊まっている。もともとは地元の方がすんでいたお家だそうで、30人近くはいっても広々とすごせる大きな古民家はなんだか親戚の家にでも遊びにきたかのような心持ちになれる。

MORIUMIUS(モリウミアス) サポーターブログ: 雄勝アカデミーでおいしいご飯をみんなでつつこう


DSC05657



大いに酒をのみ盛り上がった翌日、モリウミアスで体験できる内の1つである漁業の体験をさせてもらいにいった。普段なら乗ることのできない漁船に乗り込み、しこんである網のところまで船で向かう。

DSC05666

この時期に旬だというホヤ。以前からホヤは雄勝町で養殖されていたが、震災時には一度すべてが流されてしまった。潮の関係でもう養殖は難しいかとあやぶまれたが、漁師さんたちの苦労の結果またホヤがとれるようになった。ホヤは幼体が網にくっついてから3〜4年が食べごろで、ここでとったホヤはちょうど2011年に養殖を再開したときのものだという。

MORIUMIUS(モリウミアス) サポーターブログ: ホヤってナンダ?


DSC05680

DSC05686

DSC05691

網を海からひきあげるとぼこぼこと赤い実がついている。そこから網に根付いたホヤをもぎ取るように手づかみでぐるりとはぎとる。結構しっかりとひっついているので力が必要だ。

DSC05697

DSC05705

とったホヤをその場でさばき方を教えてもらい、海水であらって生のままぱくりといただく。海のしおっけとほのかな甘さ、そしてフルーツみたいなみずみずしさがあじわえた。東京近辺では鮮度の問題で酢造りになっているものしかお目にかかれないうえに、なかなかえぐみもあるので苦手な人も多いだろう。しかし生で食べるホヤはまったくの絶品だった。

DSC05708

DSC05715

自分でとったやつをその場でさばいて、その場で食べるなんて体験はしようと思ってもできるものでない。また漁師さんの話を聞きながら、どうやってホヤが育つのか、ホヤのからだがどうなっていてどうさばくのかという漁業授業は1度体験したら忘れられないものになる。


自分は正直なところモリウミアスに関わるまで雄勝町、という町をまったく知らなかった。
今回初めて訪れて、なんて自然が多いところなのだろうと驚く反面、なぜこんなに建物や人が少ないのだろうと違和感を感じた。道路が整備されているにも関わらず平地に建物や施設、田畑の数が少ない、というのはなんともいえない奇妙さがあったのだ。
そしてその理由は、途中立ち寄ったローズガーデンで管理人の方からお話を聞くことができた。

MORIUMIUS(モリウミアス) サポーターブログ: 花と緑で雄勝の春の息吹を感じた「雄勝ローズファクトリーガーデン」

DSC05443

津波により商店街も小学校も住宅街もなくなってしまった。そしていまは土台から撤去され、ただただ自然だけがそこに残った。奇妙さの原因はそれだったのだ。

DSC05417



どちらかといえば、自分は悲しい話は苦手だ。だからこそ、がんばってきた人たちと今がんばっている人たちと、楽しい今のできごとを見て、体験してもらいたい。そうすることでまたちがった魅力にあふれた雄勝町ができていくんじゃないかとおもうからだ。

DSC05800


というわけでということもないが、深く考えずにGWの予定がたっていない人、また時間に余裕がある人は建設中のモリウミアスに遊びにいってみてほしい。オープンまでの短い期間ではモリウミアスで使うレンガ造りなどの手伝いに参加できるし、雄勝アカデミーに宿泊しておいしい海産物やお酒を楽しむことができる。これは今だけの楽しみなので、大人同士はもちろんお子さん連れのご家族も自然を満喫しに、そして建設中のモリウミアスに足跡を残しにいってみるのもいいんじゃないだろうか。

DSC05468

モリウミアス建設中の手伝い・宿泊に関しては公式サイトからお問い合せか、もしくはFacebookページから確認してみてほしい。

www.facebook.com