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「ここにはいないけど確かにいる」を感じた、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」〜うずまきナルト物語〜

2021年8月にナルステ新作、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」〜うずまきナルト物語〜の上演決定の報をみたとき、どうとも言い難い喜びと悲しみの感情がまぜこぜになった。
開幕が近づくにつれて喜びと悲しみはそのままに膨れ上がって、結局見ないことにはどうしようも感情にケリをつけられないと舞台の客席に足を向けた。


この記事はネタバレしか含まないため、その心算で読んでほしい。

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うずまきナルト物語を見て考えたこれからのナルステ

何度も何度も繰り返し見ながら咀嚼して結局のところ、感情にケリをつけることはできなかった。
ただこれから大きな局面を迎えるために必要なことが詰まっていた、と感じた。


ストーリー構成もさることながら、今回も舞台美術の素晴らしさはここまでのナルステの技術の集大成なのではと感じるほど本当にすごかった。ここまでのクオリティで1ヶ月足らずの公演だなんて勿体ないし、絶対再炎あるだろうと思っていたら、まさかの新作が決定ということで、ちょっとこの舞台装置たちどうなるんだ???と不思議で仕方ない。再利用されるものもあるのだろうけど、ここまで様々なシーンに対応して作り込まれた舞台のあれこれに拍手喝采を送りたい。


また相変わらず技術やギミックでも不断に楽しませてもらえた。
プロジェクションマッピングは分割スクリーンと全面を覆うスクリーンとの使い分けでシーンの多彩さが増していたし、忍術にレーザーライトを導入することで映像に頼らないエフェクトが出来上がっていた。花火も踊りも殺陣も歌も見どころしかない。
今回から「Wi-Fiやモバイルルーターをオフに」というアナウンスが入ったが、恐らく冒頭の自来也のシーンなどで出てくるふわふわ浮いてる光る玉のライトONにWi-Fiを使用したのではないかなと思われる。忍術とLEDライトの組み合わせも安定してよりわかりやすい表現になった。強いていうならナルトの修行のところが何をやっているかちょっとわかりづらいので、きっと再炎があるのであれば改良されるんだろうなと思っていた先日までは。


ナルステはどこまでどうやって続くのか

最初にナルステが公演されてからもう6年。つまり初期からキャストとして入ってるメンバーも6年歳をとった。
大人チームはいいにせよ、そろそろメインどころの第七班は大人モードへの切り替えに入りたいところだ。だから、今回のうずまきナルト物語の話の進み具合如何では、原作を全てやり切らない選択肢もあるのではないかと感じていた。というのも、これまで通り再炎込みで4クール(うずまきナルト×2回、最終版×2回)を最低限やるとすると倍の時間、つまりあともう5〜6年かかるということになる。こちらは嬉しいがキャストさんの身体的なことを考えてもそこまでやるのは結構ギリギリではないかなと感じたからだ。


ただ先日のジャンプフェスタの中で、ナルステ新作が2022年に公開予定と発表があった。これはつまり原作全て初期メンバーでやり切ってくれるつもりがあるという関係者からの意思表示であると考えたい。そうでなければ急ぐ必要がないからだ。


NARUTOの原作最後の方はこれまでの話とガラリと話のテイストが変わってくる。忍者同士の戦いというか宇宙人との戦いと言っても差し支えない。だから少なくともサスケ・サクラ・カカシのキャストを入れ替えずにやり通すとしたら、原作の中の一部を思い切り飛ばす選択肢もなくはなかったはずだ。でもナルステを作り上げてくれたキャストをはじめとしたカンパニーで、最後までNARUTOをやりきり、BORUTOに繋がっていくんだと、そう自分は受け取った。きっとこれにはもちろん、ナルトも変えない構想も含まれていたんだろうなと思う。



ここにはいないのに存在を感じた人たち


うずまきナルト物語では、そこにはいないけれど存在感を感じる人が4人いた。
自来也、四代目、イタチ、そして松岡広大さんだ。



自来也については今回初のアニメ版声優さんとのコラボで登場するくらい、冒頭にいなくなってしまったことによってより存在感が際立ったといっても過言ではない。自来也がいなくなったらからこそ、ナルトはサスケと同じ痛みを知り、忍者の呪いを解きたいという考えに至れたんだろうと思う。個人的にはナルステ最初の作品で見た自来也様が本当に面白く素敵な方だったなぁという記憶があるので、いつもナルステの自来也を見るとあの自来也様が思い浮かべさせられる。



四代目は途中で思い切りでてくるが、思い切り出てくる以外のところは全然出てこない。いや本当に全然出てこないな?とびっくりするくらい登場シーンが限られていた。でもあの一瞬の登場で全ての説得力を作り出していた。
四代目はあの短いシーンでもしっかりとナルトと対面して大事なことを伝えてくれた。それはきちんと四代目を四代目として生きている人が舞台上に存在してくれたからこそ出来たシーンだと思う。そして毎度のことながら本当にナルステの衣装を考えている人は天才だと思ってるのだが、四代目の服に至ってグレーがかったなめらかな毛色の布を使って火影マントを再現したあのセンス、発想力、いや本当にいや本当にいや本当にすごいな!!!!!と叫びたいくらいすごい衣装だった。光に当たると白く映え、影にあるときは忍んで潜む、あの布以上に正解の四代目の服はないと断言したい。



衣装の話から戻して、イタチについて。今回影すらも登場していないのに、一体何度「イタチ」という名前を自分達観客は聞いただろうか。イタチの存在がどれだけ大きかったか、どれだけ喪失が辛いことなのか。いないことによって逆にここまで存在感を感じさせられるというのを舞台の上の演出としてこんなに引き出せるのは、やっぱり前作のイタチが素晴らしかったからこそこの上ないだろう。
今作でカブトが穢土転生のフラグを立てたので、2022年にある次作はきっと絶対必ず叶うならば復活したあのイタチに出会えると信じている。サスケとの共演が、サスケの憎しみからの解放シーンが、見たくて見たくてたまらない。



そして、松岡広大さん。
ナルステのナルト。彼がいないことが今回自分の中の大きな悲しみの1つであった。
純粋に彼のナルトが見られないことがとてもとても悲しかった。
彼のいないナルステがどんななのか想像できずに観客席に座った。そうして見ていると、松岡さんのナルトが頭の中で勝手に動き回った。これまで座長として作り上げたナルステというカンパニーの中に、ナルトという存在が色濃く残っているんだと思わざるを得なかった。それだけ魅力的なナルトを作り上げてくれた松岡さんに改めてお礼を伝えたい。
この先彼をナルステで見られるのか、他の舞台で見られるのかわからないけれど、今後も応援していきたいなと改めて思った。



それぞれのキャラクターについて

ナルト

新たにキャスティングされた不安はとても大きかったと思う。
その中で新しいナルトは、これまでとはまた違ったナルトを見せてくれたと感じた。
ちょうどナルトたちが子供から大人へと切り替わる時期に、少し大人を感じるさわやかなナルトを演じてくれたことがヒナタとの絡みもバランスがよかったと感じた。日曜朝のレンジャーものの主役のような雰囲気を少し感じた。

ナルトはこれからさらに強く、大人になって、そして最終的に火影になる。
そこまでの道筋を感じさせるナルトだった。


我愛羅

自分は役者さんを本当に知らないので、今回我愛羅役になられた納屋さんもどんな方か存じていなかった。
しかしあまりにも動きが我愛羅すぎて、目を惹きつけられた。そんなに複雑な動きをしているようにはみえないし、わざとらしく大業なことをしているようにも見えないのに動きが洗練されていて見ていて飽きない。というかもっと見たい。
細かな動きから大きな技を出すところ、歌も踊りも全て、なんて素敵な役者さんなんだと感じた。
これを機に他の作品も是非見に行きたい。


サクラ

花、と表現するにぴったりだと思う。そこにいるだけで、物語が色づいて共感しやすくなる存在。
1つ1つの演技も表情も動きも、ナルステにはもう本当に欠かせないものだよなと見るたびに思うし、見るたびに強く感じる。
今回も可憐さや可愛さはもちろんのこと、サクラとして新たに大人にならざるを得ないところ、揺れ動くところが見られて、本当に目が離せなかった。

ちょうど原作的な意味でこの時期のサクラは結構他力本願な部分があるので、どうにもナルトに頼ってる感が大きいし、ナルトに告白するところもなんだかんだ逆ギレしてて、実際のキャラとしての心象はよくはない。ただ、ナルステのサクラを通して見たサクラは本当に必死でもがいて、またみんなで笑い合える第七班を掴もうとしているんだなと思えた。

次の成長したサクラを見るのが本当に楽しみだ。


カカシ

カカシというキャラが大好きな自分にとって、今回のターンでカカシのアクションがバチバチに決まっていたのは本当に何より楽しく嬉しかった。ペインとの戦いもサスケとの戦いも、これから先もっと大きなNARUTOの最終局面を迎えるためのカカシ先生の通らざるを得ないシーンだから、ここでこれだけのアクションが見られたということは、つまり、最終局面でもまた見られるんだ!と期待が膨らむ。


若干、オビトが出てこない可能性も危惧しているが、サスケの「うちは以外がその目をひけらかすな」という台詞を入れてくれていたということはつまり、カカシ先生になんでその目があるのかを説明するフラグでは?????ということで、希望を捨てずにいたい。

また今回はイチャタクで笑わせるシーンも、ナルトやサクラに寄り添って先生として立ち回るシーンもものすごくよくて、よくてよくて......よかった。以前腰を怪我されていたので、アクションが問題なく見られるようになったこととあわせて、本当に楽しませてもらえた。


サスケ

なんというか、大人になったね、成長したね......みたいな謎な気持ちになった。
いやあまりにも役者さんとして素晴らしすぎるので。言うことがありすぎてない。いっそない。イタチ兄さんみてる?これがあなたの弟ですよ......。


歌も演技も、見せ場や流れ、感情の変化をうまく「魅せて」くれた。恐らくナルステの役者の中で1番自分が他の舞台でも見ている役者さんではあるが、ナルステに戻ってくるまでに掴んだ全てを何もかもを集大成にして魅せてくれていた。何度見ても何度見ても、よりすごくより引き込まれる。これまで歌はどちらかというと、よりよく合わそうとしていたところを、あえて自分の声質とキャラの性質を重ねて別の存在感を作り上げていたし、殺陣は磨き込まれすぎて本当に戦ってるんじゃないかと錯覚させられた。


何よりイタチを失ったことによる喪失感、悲しみ、自暴自棄があそこまで嫌味なく、いっそ本当に彼自身がなくしたかのように見える演技をしたうえで、最後のカーテンコールに笑顔を見せてくれる。そんな強さを何よりも感じた今作だった。サスケは強い。
そして今回、やっとナルトと久々に向き合うところまできた。



東京公演から追いかけて、なんだかんだ初めて大阪公演に行ってきた。ところどころブラッシュアップされていた演出の1つに、ナルトとサスケが最後に言い合うシーンがあった。変化があったのは、思い切り相手の目の前にまで言って、お前を止める・お前を殺すと宣言していたところ。必ず、お前を、と力強く対峙するその様子を見て、これこそが、最後の最後にNARUTOとしての最終局面に行くための大きなフラグになるんだよなと改めて感じさせられた。


一体、これからどれだけまた成長していくんだろう。


おわりに

全体的に言いたいことだけを言っている記事なので、とりとめない文章になってしまったし、まだまだ他にも言いたいことがたくさんある。
アンサンブルメンバーの各役どころが素晴らしかったとか、キラービー様のラップ最高すぎてずっと笑ってたよとか、サイの感情が垣間見えるようになったところ好きだなとか、綱手様あいかわらずお美しく最強に素敵とか、ペインの歌声と迫力はなんなんだやばいなこれは世界壊れるわとか、マダラさんの声よすぎて尾獣あげそうになっちゃうよとか、フカサクさまの人形劇かわいすぎではとかもう言いたいことは本当にたくさんある。


今ただここで、1つまとめて言うとしたら、キャストもスタッフも関係者の方も、作り上げてくれて本当にありがとう。本当にすごいものを見せてくれてありがとう。2022年の新作も、本当に心の底から楽しみにしています。