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「避難してください」と言われたときにどこに避難すればいいのか

台風19号の被害に怯えながら過ごした10月12日が終わり、晴れて13日。
まだ風も強く油断せずに過ごしたいが、忘れないうちに自分の体験と避難判断について今後のために残しておく。



多摩川はん濫の可能性による避難を検討

実家、現在の住まい共に神奈川側の多摩川の近くにある。


これまでに幾度も台風や大雨の影響で土手いっぱいに水が貯まる多摩川を見てきたが、12日の昼の段階ですでに「台風の後」のような水量になっている多摩川の様子をライブカメラで知った。これを見て危機感を覚えなかった住民はいなかったのではないだろうか。


少なくともその時点ではYahoo天気・災害ページでも多摩川の水位情報は他の川と比べると平和な様子だった。むしろ数字だけで見ると他の川に比べ余裕がありそうにみえた。まぁたしかにこれまで「多摩川があふれそうだ」と本気で心配したことは1度もない。

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ただ問題は、この後に台風が上陸してこれ以上に水が増えるということである。
もしあふれるとしたら、自分と家族はどのような行動をとればいいのかを考えた。



洪水ハザードマップを確認

東京都では江戸川区が最大4Fあたりまで浸水の可能性があるとニュースになっていたこともあり、自分の住まいが浸水した際どれくらいの高さまで水がくる可能性があるのかを確認することにした。


ちょうど2019年10月10日に、川崎市が洪水ハザードマップを更新していたのでそれをじっくりと見た。

www.city.kawasaki.jp


確認したところ、実家も現住まいも最大でも3mの浸水ということでしっかりした建物の2F以上にいれば命の危険性はなさそうだと判断した。

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浸水の高さとあわせて「水が引く期間」もPDFで公開されており、今回冠水した武蔵小杉は水はけが悪いことがわかる。同じく冠水した等々力緑地は浸水マップで最大10mまで浸水する可能性があった。


実家の方がより多摩川に近く、家屋倒壊の危険性がある5mの浸水あたりに近いため少々不安に感じたが、近隣に比較的新しい戸建ての家が複数建ってることもあり倒壊の可能性は低そうなこと、一応3Fまである家なのでもし水かさが増えても3Fにいれば大丈夫そうだと考えた。(これが正しいかはわからない)


以上を踏まえて、実家にいる家族にはどこにも行かず実家の2F以上に待機&貴重品などはあらかじめ2F以上に避難させておいてねと伝えた。
自分自身はマンションの2Fに住んでいたので、大丈夫だろうとは思いつつもいざといときに3F以上に移動できるよう貴重品と食料をまとめておいた。


風でモノがとんできて窓が割れてもいいようにブルーシートで目張りして、下水が逆流しないように水道を水の重しでフタをした。
お風呂と空のペットボトルに水を貯め、モバイルバッテリーもフル充電に。



避難するタイミングと情報収集

日中からひっきりなしに警報アラームが届き不安を覚えるが、必要なことは頭にいれ、必要なものは準備したのであとは必要なタイミングで動ければいいはずと情報収集をした。


情報収集に使ったのは主に以下4つ。


あとは各種メッセンジャーツールで友人たちと情報交換をした。


情報収集していたのは、以下のポイントを知るためだ。

  • 多摩川の水位(はん濫といわないまでも越水してる状況を知るため)
  • ダムからの放流(おそらく今回1番大きな被害が考えられるとおもったのはこれ)
  • 多摩川のはん濫(どこがはん濫してるかによって対応が異なる)


浸水状況によって、何階に避難すればいいのか。
そこだけわかればよかった。



16時頃に、多摩川はん濫の恐れが警戒レベル4になった。氾濫危険水位に到達したのだ。
その頃からテレビニュースで頻繁に多摩川のことが報道されるようになり「避難していない人は避難してください」と繰り返し伝えられた。


この「避難してください」という言葉がものすごく難しいなと思った。


というのも、今回すでに「普段住んでる部屋(家)で命を守ることができる」と判断していたし、他の場所への避難がリスクが高いとも感じていた。ただ、ニュースでこれを聞いていた実家にいる母は「どこかに避難したほうがいいんじゃないか」と不安を伝えてきていた。


Twitterなどの情報で、実家近くの避難所である学校は体育館は封鎖し3F・4Fのみ解放となっておりかなりの人数がすでにいる状態、ということだったので避難しても精神がすり減るばかりでいいことがないだろうと、実家にいる家族と一緒に「家にいてくれ」と説得した。


これが、浸水状況が4F以上にもおよぶ可能性があるとか、地震であるとかなら早急に避難所に行くという判断をしてた可能性は十分ある。そもそも混む前に避難していればよかったという説もあるだろうが、正直にいって避難することによって不安をより煽られ精神的にすり減る時間を長くしてしまうことを懸念した。
台風が明けたあと、断水・停電などの影響が長期間出ないとも限らないので、今回の場合はよっぽど家が危険な状況でない限りは精神的負担のない場所のが今後のためにもいいだろうと、家族と自分の性格面を考えてのことだ。


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母には不安を煽るので伏せておいたが、浸水想定マップで避難所に指定されている学校の多くが「建物倒壊」エリアに含まれており、それもあわせて余計に避難所への避難は見合わせた。


台風が過ぎて

自然災害に対してここまで明確にしっかり準備して判断したのは人生で初めての経験だった。
地震が起きた時の防災グッズ揃えるくらいの曖昧さはあったものの、「危険が迫っているから対応しなければ」と考え判断し行動する、というのは本当にこわかった。自分自身のこともそうだが、何より家族に何かあったらと思うとこわくて落ち着かなかった。


今のところ家族の誰にも怪我もなくいられて本当によかったし、今回のことを踏まえて災害時に確認しておいたほうがいいことをきちんと知ることができたようにおもう。いやまだ足らないとおもうが、これを経験する前に比べたら幾分かマシだとおもいたい。


そして何より「避難してください」を鵜呑みにしてはいけない、というのを学べたのは大きかった。
「避難してください」のときに、本当に避難すべきなら一刻もはやく避難するべきなのだが、すでに「避難できている状況」のときに聞く「避難してください」はこわい。「避難してください」を言ってる人がわるいわけではまったくないし、避難できずに被害を受けてしまうこともあるので避難は本当にしよう。本当に。


ただそれは「避難所に避難しよう」だけではないことと、避難してくださいと急かされてからでは逆に遅く、もっと積極的に避難可能な状況を自分で用意しておいたほうがいいこと、それは頭にしっかりときざんでおきたいとおもった。