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佐渡ロングライド2018・100kmコース、毛虫との戦い、収容車とのかけ引き、圧倒的自然の癒し......

2年前にクロスバイクを買ってからというもの、思い切りハマるわけでもなくとはいえ微塵も乗らないわけでもなく、近所でボチボチ川べりを走って楽しんでいた。買った年の秋にツールド東北で60kmコースに参加したが、それ以来長距離を走ることはなく、まぁいつか機会があればとおもっていたところに、周りの友人たちが佐渡ロングライドに興味を持ったことからノリと勢いでついでにエントリーをした。


実は以前に佐渡には旅行で出かけたことがある。その際に、佐渡の人から佐渡ロングライドのことを聞いて興味をもっていた。島好き的には、自然の多い島をぐるぐると走るイベントはとても魅力的におもえたのだ。

2018スポニチ佐渡ロングライド210公式サイト


佐渡ロングライドには4種類のコースがある。佐渡を1周するAコース、半周するBコース、上半分だけ周るCコースと観光メインのDコースだ。佐渡をぐるりと周りたいという欲求はありながらも、いかんせん距離が210kmと聞いてあきらめた。走りきれる自信がない。自分のスキル的に見合わせるとDコースの45kmが1番適していそうだったのだが、せっかくだから海沿いを走りたいなぁというふんわりした考えで100kmのCコースを選択した。


それからものすごく大変な準備期間を経て(これについてはあまりにも大変だったため、別途記録を残したい)、大会当日を迎えた。


前日まで雨だか晴れだかわからない不安


大会前日に佐渡ヶ島にジェットフォイルではいった。ついた両津港からは大会公式のシャトルバスに乗り、受付会場まで向かう。前日の天気は雨。気温は9度ほど。さむい。明日の天気もこんなだったら走りたくない思いを胸に、とりあえず前日受付へ。

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本来受付は小学校のグラウンドで行われるようだったが、天気が悪かったこともあり佐渡観光センター内で行われた。受付で、自転車検査証と事前に送付されてきたゼッケン番号の紙を提出し、ゼッケンなどを受け取る。あわせて、会場に自転車を発送していた人はここでクロネコヤマトの窓口受け取りが行われていた。

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自分は宿に自転車を配送していたが同行者の数名は輪行できていたため、その場で組み立てて自転車で宿へ、こちらはタクシーで移動するため宿で落ち合うことになった。電話でタクシーを呼び出し今回予約をとった宿、佐渡入海旅館へ。会場のスタート地点からも近く、期間中ロビーを自転車置き場にしてくれているなんともロングライド向けの宿だ。

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夜ご飯はあらかじめ予約してあった、割烹料理「ちよぼ家」に。店に向かうタクシーの運転手さんが、なんと先ほど乗せてくれた運転手さんと同じだった。また会いましたねと挨拶しながら、明日の天気不安なんですよ、なんて雑談をしていると「明日晴れにしておいたから大丈夫だよ」といってくれた。頼もしい。

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佐渡の素材がふんだんに使われた最高の料理を食べて次の日に臨んだ。

https://tabelog.com/niigata/A1501/A150103/15014869/


本番当日、快晴!ただし路面が.......


タクシーの運転手さんのおかげもあってか、当日はバッチリ晴れ。朝方は雲が多かったが、昼に向け雲1つないお天気となった。


同行者がBコースだったため、朝5時に起きて6時の集合にあわせ会場に向かう。宿からはけっこうしっかりした朝ごはんのお弁当が用意されていたので、食べられる分だけもぐもぐ。飲み物をスタート前に買いそこねたので(ボトルを忘れた)、スタートしてからどこかで買おうという気軽さで、Cコース出発の時間を迎えた。

今回友人たち何人かと参加したがCコースは自分1人。スマホの通話機能をグループでハンズフリーで行えるBONXを借りて、Bコースの友人たちと連絡をとりながら、いよいよスタートをきった。


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コース最初の方は海岸線沿いで平坦な道がつづき、朝方までしっとりとしていたせいか海にかかる虹をみることができた。とてもきれいで写真を撮りたかったが止まらずにそのまま走り去る。なぜならBONXから先を走るBコースの人たちの「上りと下りが交互にくる」という恐ろしい言葉が聞こえてきて、ゆっくりしている時間はないと気を引き締めたからだ。ちなみにCコースのゴール地点である両津港には、13:30までに着かなければいけないという制約があるのだが、自分のいつもの速度から計算するに、どう考えても間に合わないのがわかっていた。なに、単純な算数の問題だ。時速15kmで100km走るのに時間はどれだけかかるか。おおよそ6.6時間。スタートが6:35でゴールが13:30。およそ7時間、ギリギリだ。いや、休憩なしで走り続ければ着くだろうがそんな根性はないどころか休憩しなければ途中であっという間に力つきる。40kmくらいで倒れる可能性の方が高い。まぁならば仕方ないので走りきることよりも、どこまで行けるかと楽しむことを考えて走ろう、ということを目標にした。


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以前でたツールド東北も坂はあったが正直平坦な道の方が多かった。だから、というのもなんだが、なんとなく今回も平坦な道ばかりだろうとおもっていた。自転車が走りやすい道だろうと。しかし自分はこれまで何度島にでかけたのだろうか、自分のこれまでの行動を思い出してほしいよ自分。島なんて山でしかない。むしろ島=山だ。坂だらけに決まっている。その昔小笠原諸島で電動自転車で坂を必死に漕いだのを忘れたのか.......。と、自分のお気楽さ加減をあらためて感じながら、平坦な道が終わってさっそくの上り下りの続きに心がくじけそうになる。さらに道が昨日の雨で濡れており下りもこわい。気がぬけない。前を走るメンバーからの話を聞くに、もうずっとそんな小さな上りくだりが続くようだったので、楽しめればいいんだ楽しめれば......と気を持ち直し先に進む。


最初のASに到着!まんじゅううまい


走っているうちにAS前に絶景ポイント&トイレスポットがあり、そこで少しだけ休憩。そこからしばらく走った先にやっと最初のエイドステーション(AS)に到着。

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ASではスポンサーのコカ・コーラからアクエリアスとコーラの配布、あと地元のおまんじゅう屋さんからおまんじゅう、オニオンスープとそばが配らられていた。そばには長蛇の列が並んでいたので、オニオンスープをもらいつつ、まんじゅうをもぐもぐ。ポケットにまんじゅうを3個くらいいれて、水の補給もして休憩5分程度で出発。ちなみにここ最初のASは20km地点にあるのだが、ここに到着するまでにかかった時間はおよそ1時間。さて、どこまでいけるのやら。


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その後もまた続きまくる坂にひいひい言いながらも進む。途中で立ち止まってまんじゅうをもぐもぐ。走りながら飲んだり食べたりになれてないのでいちいち止まって補給するので余計にきっと時間がかかっているんだろうなぁとおもいつつ、休み休み進んでいく。


途中で白い鳥をみかけてトキかな!?とそわそわしたが、ちょっとちがうっぽい。でもいい景色なのでみれてラッキーだ。

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毛虫をよけながら2つ目のASに到着!まんじゅううまい


道中、なんで君らはそんなに道路渡りたいのか?と問いただしたくなるくらいおびただしい毛虫たちが、道路を横断していた。何匹かは尊い犠牲となった姿をみかけたが、なるべく毛虫との衝突事故を避けながら、そして上り下りを繰り返しながらやっと2つ目のAS・入崎キャンプ場に到着した。自分が着いた時には、塩大福とゴマまんじゅうとフルーツのみだったが、実際にはもっとご飯があったらしい。

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この2つ目のポイントでBコースの収容車との競争状態になっていたくらいなので(Bコースの人をどんどん回収していくため、追い抜かされたり、追い抜かしたりしていた)だいぶCコースでもすでに後ろの方にいたのだろうとおもう。Cコースの回収はいつされるんだろうとドキドキしながら、またまんじゅうをいくつかポケットにいれ、足早にASを後にした。この地点がおよそ42km地点で時間はスタートから4時間ほどたった頃だった。うーん、これはやっぱり難しそうだなぁ、まぁがんばろう。


しかしこのコースの一番の難所はこのあとにあった。佐渡ロングライドといえばで有名なZ坂と呼ばれるつづら折りになる1.5kmの坂と、さらにその後大野亀という大きい亀のような山が控えているのだ.......。


Z坂に着いた時点でもう足はガクガクだったので、もう坂の途中からはいさぎよく歩いた。むりだった。その代わりゆっくり景色が楽しめたのでまぁいいかというきもちだ。

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その次の大野亀もまぁ途中から、というかわりと最初の方から限界を感じて早々に歩いた。空気がきもちいいなぁ。大野亀の頂上付近に公式のカメラマンが待ち構えており参加者を撮っていた。景色がいいのはわかるが坂の上なんてそんなへろへろな状態で撮られるの困るよ!と主張したい。いや景色は本当にいいですよね、撮りたいきもちもわかります。結果自分は自転車を押している姿を撮っていただいた。

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さて大野亀の頂上は観光スポットとして喫茶のようなものがあり、ASではないがゆっくり休憩することができる。本来は。しかし、このポイントに着いたタイミングでスタッフの方から「あんまりここでゆっくりしているともうゴールできなくなりますよ〜」と声をかけられた。まじか。どうしよう。ここのソフトクリーム食べたいのに...!でも飲み物を買っている間にさっきまでいた人たちもいなくなってしまったし......いくしかない。ソフトクリームにとてつもなく後ろ髪を引かれながら補給食を噛み締め、その場を後に。


ちなみにこの頃BONXは前日きちんと充電しておかなかったため、充電がきれてしまった......致し方なくたまにスマホから先を走るメンバーに近況報告をする。

ゴール前最後のASに到着...まんじゅう......

こんな辛いポイント2つも越えたんだからあとはもうラクだよね!と思いたかったが、残念ながらそうもいかずにその後もまたノボリクダリが続くことになった。もはや下りではまわす元気もない......でも天気がめちゃめちゃよくて緑がきれいで空が青くてめちゃめちゃきもちいい......疲れているはずなのに最高にリラックスできるこの空間なんなんだ......と佐渡の自然マジックに助けられながら、ツールド東北で走った60km地点を通り過ぎ未知の領域に突入する。


コース沿いに10kmずつ立て看板が置かれているのだが、60km過ぎたあたりから「10kmってこんなに遠かったっけ......」と感じるようになった。70km地点がいつまでたっても目の前に現れない。


と、そんなおりスッと隣に人がきた。ゼッケンにはスタッフ、と書かれている。え!これは収容されちゃうやつか!?とすわ慌てたが「もう結構時間ギリギリですね」と話しかけられた。どうやらまだセーフなようだ。


「このままゴールまで目指しますか?」
「行けるところまで行きたいとおもってます」
「あと1時間くらいなのでゴールするにはギリギリくらいですね」
「1時間だとむりっぽいですね〜あはは〜」
「今のスピード維持できればギリギリ着きますよ」
「がんばってみますー!」
「もう少しいくと最後のASですよ」


という会話をして別れ、しばらくしてようやく最後のASにたどり着いた。もうまんじゅうもなかった。まんじゅうほしいよまんじゅう......っていうか人もほぼいない。そして着いた早々に「12:30になったら、ここから収容車が出発します!それに追いつかれたら終わりなのでがんばってくださーい!」という声が響き渡る。その時点で時間は12:18。え、もうすぐじゃん!?
アクエリアスをとりあえず飲んで、水を補給して、すぐさま自転車に飛び乗る。

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ここからはもうこれまでにないくらい急いだ(当日の当社比)。1km以上ある長い長いトンネルも不安になりながらもめちゃめちゃこいだ。トンネルは道路が整っていてものすごく走りやすい。でもやっぱり結構怖いので積極的には走りたくない。

最後のASからゴールの両津港までは、山から港に全体的に下っていくようなかんじなので比較的、走りやすいというのもあったようにおもう。


とりあえず走った。がむしゃらに走った。よくわからないけどもう走った。


ゴールできなくてもいいとは思いつつ、できる限りいけるところまで行きたい、ここまでがんばったんだし!という想いだけでここからは走っていた。


13:28時点で残り10km......


ここまでで90km地点、という立て札を通り過ぎた。あと残り10km。いつもの近所の川べりを走っているのと同じくらい。なんとか体力的にはがんばれそうだ。ここでふと手元のスマホを見る。Stravaというアクティブ記録を残せるアプリを起動して自転車のハンドル部分に取り付けていたのだが、そこで画面をみると時間は13:28。Cコースのゴール、両津港まではあと10km。13:30のリミットにはとてもじゃないが間に合わない......。

でもまて、収容車にまだ追いつかれていない。まだ行けるはず。

今にでも車が追いついてくるのではないかと、ひやひやしながら、またもう足を動かしたくないという想いを抱えながら、とりあえず少しでも先に進めるように自転車をこぐ。


そうしてやっと、両津港の建物が見えてきた。やった!あともう少しだ!!


そう思った瞬間、収容車と書かれたバスが隣をすっと通っていった。


ああ、あと少しだったのに......


あれ?でも車とまる雰囲気がない......
スタッフの人もいない......もしかしてこれは走ってOKってことかな!?



状況がわからないが、もうゴールはすぐそこだ。走りきるしかない。
ゴール手前でスタッフの人たちに「あともう少しですよ!」と声をかけてもらう。
スタッフの人だけではなく、道中、本当に多くの佐渡の人たちに「がんばれ!」と声をかけてもらえた。ありがたいことこのうえない。


「ゴールです!お疲れ様でした!」というアナウンスと共に、ゴールに到着した。
どうやらゼッケンと一緒に配られたチップで位置を取得し、ゴールしそうなことがわかっていたようだ。


アンケートを書いてちょっとお待ちください、とそのままテントの席に案内される。座れた.....という安堵を感じ、ささっとアンケートを書くと「こちら完走賞です」とペラリと紙が渡された。ああ、ゴールできたんだ......がんばってよかった.......。


ぴったり7時間で100km


段階的なスタートだったこともあり、6:45にスタートをきり、結果13:45にゴールに到着した。特にはかったつもりはなかったけれど、なるほどどうやら自分の計算はだいたいあっていたらしい。

両津港はCコースのゴールでもあり、Bコースの休憩ポイントでもある。ただここだけAS(エイドステーション)ではなくBSとなっていた。なんだろうBSって。答えはなんと弁当ステーションとのこと。その名の通り、お昼ご飯にお弁当が配られていた。
自分が着いた時刻には1種類しかもうなかったが、先にお昼をすませていた人たちの話によれば3種類くらいあったらしい。佐渡名物、笹団子やいちごなんかもふるまわれていた。

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両津港からスタート地点までは離れているので、予約していたシャトルバスにのってBコースのゴールでもあるスタート地点に戻る。もはや歩きたくないっていうか動きたくない状態だが、なんとか身体を動かしてバスに乗り込み、やっと7時間半ぶりにスタート地点に戻ってきた。


本当になんで100kmのコースにしたんだろう、と自分で自分が不思議でならないが、まぁあれだけきれいな自然が見られたのも、きもちのいい道を走れたのも100km選んだからだよなぁっと考えればいい選択だったことは間違いない。何よりも気温や天気がちょうどよかったのも、きもちよく走れた要因だろう。タクシーの運転手さん、晴れにしてくれてありがとう。

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早い人だとAコースの210kmでも4時間半とかで帰ってきたらしいという話を聞いて、もう別次元がすぎるので考えるのをやめた。とりあえず、楽しめたし!


佐渡を走って改めて、景色のいいところを走るのは楽しいなぁ、島好きだなぁと感じた。最近あまり島にも行けてなかったが、これを機会にまた島に行くタイミングもつくっていきたい。


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