昔に比べるとめっきり甘いものを食べたいきもちも落ち着いてきたこの頃、ははぁこれが大人の階段というやつかとしみじみ感じていたが、最近になって気になったチョコレートのお店がある。「Minimal -Bean to Bar Chocolate-」だ。
きっかけはTwitterで見かけ「なんかよさそうなチョコがあるっぽいな」くらいの感覚でWebをのぞいてみたら、さまざまな風味の洒落た板チョコがあることがわかり、その見た目のよさにまずときめいた。板チョコの他にもおいしそうなチョコなお菓子が通販で色々取り扱いされており、めさくさ目移りしてしまう。
うん、これは店に行って確かめないとだめだ。
dancyuコラボの日本酒ペアリングナイトに参加
このMinimalは、2014年にオープンして富ヶ谷、銀座、白金高輪、東池袋の4ヶ所に店舗を構えている。その各所で定期的に試食系イベントが開催されており、その内容がどれもこれも楽しそうなのでイベント参加ついでにチョコを楽しみに行きたいなと狙っていた。
そんな折、あの食メディア大御所dancyuとMinimalがコラボするイベントがあるのを見つけてしまった。「クラフトチョコレートとd酒」ペアリングナイト!これはもう行くしかない。
富ヶ谷本店を貸し切って行われたイベント当日、ちょっと遅れて入った店内ではdancyu web編集長の江部さんが、d酒についての説明を行なっていた。
d酒は佐渡島で有名な「真野鶴」をつくる尾畑酒造とdancyuが一緒につくったお酒で、日本酒には珍しく夏に仕込みをしているとのこと。なんでも佐渡にある廃校を仕込み蔵として再生した場所が研修や地域交流に活用されているらしく、その蔵を活用してd酒はできたらしい。日本酒の新酒が出まわる冬から春にかけては製品の仕込みが忙しいので、それが落ち着いた夏頃からというわけだ。そんなため、今回ご用意いただいたd酒は「春あがり」の日本酒だった。
冬から春にかけて新酒がでてきて夏を越して秋に熟成した日本酒を「秋あがり」というが、自分は秋あがりの日本酒が1番好きだ。なので、今回夏から秋に出てきて冬を越えて春あがりになったd酒に期待が高まる。
いい感じに仕上がったお酒と一緒に楽しむのが、今回のメインディッシュ、Minimalの各種チョコレートだ。
この日用意されたMinimalのチョコは全部で7種類。どんどんと配られてくるチョコにそわそわしてしまう。
カカオと砂糖だけでつくられたシンプルなのに奥深いチョコレート
配られて来た様々な形のチョコレート、それを説明してくれるのはMinimal代表の山下貴嗣さん。
世界中を周り、いいカカオを探し歩いているという。そうして見つけてきたカカオと砂糖だけで作ったとてもとてもシンプルなチョコなのに、食べるとまったく味が違うというのだから驚くばかりだ。
最初に食べ比べたのはMinimalのお試しセットとしても販売されている「NUTTY」「FRUITY」「SAVORY」の3種類。それぞれ「ナッツ」「ミックスベリー」「ドライミント」のような風味が楽しめる、というのを聞くだけ聞いてもピンとこないのでとりあえず試食。
わ。ナッツだ。え、ミックスベリーだ。おお、ドライミント〜〜。
これ本当にカカオと砂糖以外入ってないの?フレーバーが実は入ってるよねぇ?と、ちょっと疑いたくなるくらい食べたあと、口の中に広がるナッツとミックスベリーとドライミントな香りを感じる。
でもけっして市販のチョコによくある口に残るような甘ったるさではなくて、スッキリ口の中でとけてなくなって香りだけがある不思議な感覚。これは甘いものが得意でない人でも食べやすそうだ。
そんなチョコだからこそ、日本酒が合う。
d酒単体は、鯖の塩焼きにほうれん草の胡麻和え、大根のお味噌汁と一緒にいただきたくなるような、ご飯がおいしくいただける飲みやすく、一緒に口にいれるものをよりよくサポートしてくれるいい食中酒だなぁ、というのが感想。
ただ、こうした食中酒は正直なところ甘いものにあわない。あわないというか、あって会話してるんだけど食い違ってて全然コミュニケーションとれてないよね!?みたいなかんじになりがちだ。
それを代表の山下さんもよくご存知で、食中酒は本当に難しいというお話をされていた。が、それでもMinimalのチョコだと、あわせることができてしまってた。
より正確にいうと、チョコの香りとお酒があうものがある、というかんじ。
これは個人の好みによるところがあるが、ものによって好きなものもあれば、あんまりそうでもないのもあった。
しかしこのd酒みたいな食中酒とあわせられるチョコがあるというだけでも、酒飲みとしてはつまみの種類が増えて楽しみが増えたことは間違いない。
チョコの種類とd酒とのペアリング
この日試食したチョコとd酒のペアリングはざっくりとこんなかんじだ。
- NUTTY(ナッツ風味)
合う。普通につまみとして合格。ウィスキーとかにも絶対に合う - FRUITY(ミックスベリー風味)
もう少しお酒を冷やして飲むとさらにあいそうだなぁという印象 - SAVORY(ドライミント風味)
チョコを食べてからお酒を飲むより、お酒を飲んでからチョコを食べるサイクルがすごくいい - SEASONAL(柑橘系ドライフルーツ風味)
単体で食べるチョコとして1番好き。これもお酒冷やして飲むとさらに合いそう - CLASSIC(ミルクチョコレート風味)
冷やのd酒と1番個人的にあってたなぁと感じたのはこれ。おそらく今回のチョコの中で甘み強めなんだけど、甘みがd酒と一緒にのんでうまみに変わる感じ - 生チョコ(ナッツ風味)
チョコの温度とd酒の温度を同じにして口の中で混ぜるとしあわせ - HIGH CACAO(ローストナッツ風味)
お燗にして一緒に食べたい。単体で食べると苦味はもちろんだけどきちんとうまみもあってチョコとしても食べやすい - X
こちらは市販のチョコでMinimalとの食べ比べ用。普通にチョコとしておいしい。
うっかりさっぱり、お店にメモしてきた紙を忘れてきたのでつくづく自分はアナログに記録してはダメだなと痛感したが、なんとかかんとか思い出しつつ書いた。
チョコそのもの、お酒そのものがどちらもいいので、単体で楽しむのもあわせて楽しむのも全部楽しくてだいぶ飲んでしまった。お酒のペアリングとの比較に、紅茶もご用意いただいたが、この紅茶で飲むのもやっぱりチョコごとに風味の変わり方がちがって、ちまちま永遠に食べられてしまいそう。
板チョコがちょっとずつ形がちがって、食感がどんどんかわっていくのもまた食べ続けられてしまう要因だろう。
帰りがけにお店でMinimalのチョコやお菓子を買ったので、また他のお酒ともあわせて楽しんでみたい。
カカオと砂糖だけで作るというシンプルさは、いつも豆腐マイスターとして食べてる豆腐の大豆とにがりと水だけで作るシンプルさにも似ていて、何か一緒に楽しむことはできないかなぁといろいろ妄想してしまう。
d酒も注文して、他の料理やつまみにもあわせてみようかな。