12月12日に、自分がアイディアを出しサッポロビールに作ってもらったビールのお披露目会を行なった。
小さい頃からの夢であった「サッポロビールとビールを作る」がこのような形で実現したこと、またこのイベントに至るまでの色々なことを記録しておきたい。
ちなみに文章は長い。
- 【きっかけ】ホッピンガレージのビールイベントに参加
- 【応募した理由】サッポロビールの社宅で育った子供時代
- 【ビールのアイディア】大豆で作る、豆腐にあうビール
- 【お披露目会の準備】豆腐屋さんと大豆屋さんに手伝ってもらう
- 【お披露目会の当日】ビールも料理も豆腐も大豆も満足
- 【最後に】これからもおいしい会をやりたい
【きっかけ】ホッピンガレージのビールイベントに参加
事の発端はサッポロビールのプロジェクト『HOPPIN' GARAGE (ホッピンガレージ)』との出会いになる。
「できたらいいな。をつくろう」をテーマに、作りたいビールのアイディアを募集し様々なビールを作っているプロジェクトで、1年ほど前からスタートしている取り組みだ。
このプロジェクトは、食で繋がるコミュニティサービス『KitchHike(キッチハイク)』と共同で運営されており、オリジナルビールを作るだけではなくビール好き同士が集まって楽しく飲む会が定期的に開催されている。
最初にキッチハイクを通じてホッピンガレージの会に参加したのは、けやき広場のビール祭りだった。以前から気になっていたがなかなか住まいから距離があるので、どうにもきっかけがないと行く気になれなかったのだ。ホッピンガレージのその会では、サッポロビールのビール開発者もきてビールを飲みながら話を聞けるというもので、とても自分にぴったりだった。
楽しいビールの会が終わり、ホッピンガレージで他にどんな会がやっているのかと公式Webサイトを見たところオリジナルビールの案を募集していた。
子供の頃から「いつかサッポロビールでビール作りに関われたらいいなぁ」と思っていた自分にとって、応募しない選択肢はなかった。
【応募した理由】サッポロビールの社宅で育った子供時代
これだけサッポロビールにこだわっている理由は、両親がサッポロビールの社内恋愛のすえの結婚だったからである。新社会人になるくらいまで、サッポロビールの社宅で暮らしてきたことも大きい。
物心ついた頃から実家の冷蔵庫をあけてビールが入っていない日は1日たりともなかったし、家族で外食するときはサッポロビールを扱うお店以外にはほぼいかなかったし、ビール作りやビールの楽しさの話を親からずっと聞かされて育って、社宅の友達の親をはじめ周りの大人もサッポロビールの人ばかりとくればもうサッポロビールを気にしない方が無理である。
自分は全然覚えていないが、幼少の頃はビールの空き缶で親がおもちゃを作り遊ばせていたらしい。
地ビールが日本で解禁されたとき、父はサッポロビールで地ビールメーカーにビールの作り方を伝えサポートをする仕事をしていた。父が仕事で開いた地ビールイベントに遊びに行ったときのこと、色んな地域の色んなビールがあって、これまで見てきたビールと全然違って色んな味のものがあっておもしろいなぁと思った記憶がある。また家族旅行で色々な土地に行くたびに、両親が地ビールを飲んで試して感想を教えてくれたりしていた。その頃はまだ小学生でもちろんビールは飲めなかったが、ビール作ってる人たちみんな楽しそうだなぁと感じた。
だから、ホッピンガレージに応募したビールのアイディアが採用されたという連絡がきたとき、本当に本当に本当に嬉しかった。
【ビールのアイディア】大豆で作る、豆腐にあうビール
採用されたアイディアは「大豆で作る、豆腐にあうビール」だ。
自分は豆腐好きが高じて豆腐マイスターになった。
ちなみに仕事は全然関係ないIT系で、ほぼ趣味の領域だ。
おいしい豆腐を知ってもらうため、楽しんでもらうためにいろんな人に豆腐を食べる機会を作るような活動をしている。
というわけで、せっかくビールを作るなら自分の好きな豆腐をもっと楽しめるビールを作りたい!と意気込みをまとめて応募した。
ビールのアイディアは毎月募集されており毎回ユニークなアイディアが集まっているそうだが、自分のアイディアを見たとき満場一致で採用が決まったよと後日教えてもらった。
応募したのは6月末。そこから連絡がきてホッピンガレージのプロジェクトメンバーと打ち合わせをすることになったのは8月の上旬。静岡・焼津にあるサッポロビールの工場で、ブリュワーさんを交えて作りたいビールの想いを伝える場になる。
この打ち合わせに臨むにあたり自分は豆腐をいくつかと大豆を数種類、蒸し大豆にして持っていった。
作りたいビールは「大豆で作る、豆腐にあうビール」なので、お豆腐屋さんで作られる豆腐のおいしさ、大豆の味の豊かさをプロジェクトメンバーに知ってもらいたかったからだ。
結果、大豆が種類によって味が全く違うこと、そのまま食べてもおいしいこと、また豆腐にもこんなに味わいがあることを感じてもらうことに成功した。
ビールは最初、大豆だしを使ってできないかなぁと考えていたのだが調達が難しいとのことで断念。代わりに豆乳と煎り大豆を使うことになった。
しかし絶対にゆずれない点として「ビールは透明度のあるものにしたい」と伝えた。
これは本当にただの個人的な好みだ。また味の好みとしてラガーにしたい旨も伝えた。
ちなみにビールビールとここまで連呼しているが日本の法律上、素材の割合的に発泡酒扱いとなる。
事前に描いていったイメージボードもあわせて見せて、パッケージデザインもデザイナーさんと悩みながら方向性を決めた。
特に悩んだのはビールの名前だ。
実はアイディア応募時に名前を書く欄があり、そこではまったくいいものが思い浮かばず『豆芳』としていた。ただあんまりしっくりきてはいなかった。
打ち合わせのときにあれやこれやと悩んだ結果、決定した名前は『晴れときどき豆富』。
自分は晴れた日にふと「あ〜今日はビールがおいしそうだなぁ」と思うことがしばしばある。
そんな風に「あ〜今日はビールがおいしそうだなぁ。豆腐をつまみに飲みたいなぁ」と思ってもらえるようなきっかけになるビールになったらいいなぁというきもちを込めた。
【お披露目会の準備】豆腐屋さんと大豆屋さんに手伝ってもらう
お披露目会に向け、パッケージデザインの調整、ホッピンガレージWebサイトに載せる文章作り、そして大事なお披露目会の内容決めを進めた。
この準備のなかで、特にビールとあわせて楽しんでもらう料理にはこだわった。
絶対に出すぞ!と決めていたのは、豆腐と蒸し大豆の食べ比べだ。
正直豆腐についてはどの豆腐を出すかをとても悩んだのだが、会場となった清澄白河からほど近いところにある三善豆腐工房さんに全体的に協力していただくことにした。こちらのオーナーの平田さんには色々なところでお世話になっており、以前も一緒にイベントを開いたことがあるくらい信頼のおけるお豆腐屋さんである。また、同じくいつもお世話になっている会場近くの丸金大豆問屋さんに協力いただいて4種類の大豆を用意した。
食べ比べてもらう豆腐は、今回提供する料理にも使われる、特選木綿とみつよしの絹、そして銀嶺の絹の3種類。(実際には三善豆腐さんが当日差し入れてくれたバジル豆腐も提供)
大豆は奨励品種のフクユタカ、国産在来種の小糸在来・水くぐり・さとういらずを蒸したもの。
さらに、その水くぐりの豆乳を使って三善豆腐の平田さんにその場で出来立て豆腐を作ってもらうというスペシャルコンテンツも用意した。
その他の提供料理は『優森食堂』という美人姉妹が提供するケータリングにお任せできることになった。
使う豆腐や、ビールとあわせて食べたいものを色々と希望ださせてもらい、最終的に素敵なメニューが整った。
さて、あとはこれでおいしく楽しんでもらうだけだ。
【お披露目会の当日】ビールも料理も豆腐も大豆も満足
お披露目会当日、ここでやっと自分の作りたかったビールと初対面だ。
こだわってこだわってできたビール、一体どんな味になっているんだろう。
みんなにも気にいってもらえるだろうか。ドキドキとそわそわが入り混じる。
会の進行は“ビールおねえさん”こと古賀麻里沙さんがテンポよく進めてくれた。
頼もしい司会にのっかりながら、ビールの紹介をしていざ実飲。
う、めっちゃ好みのビールになっている.......。
ビールとしての味に深みがあり、どことなく大豆の風味や香りが楽しめる。
なのに後味はとてもスッキリしており、ついついどんどん飲みたくなる。
まさに料理とあわせて飲むのに最高のビールだった。
そして見た目も完璧に自分の希望通りの様子で、担当してくれたブリュワーの成瀬史子さんにあつく感謝を述べたい。
そして想像以上においしそうで実際にめちゃめちゃおいしいケータリング料理が並んだ。
いやぁ本当に美味しかったな、これ......。また何かでケータリングぜひ頼みたい......。
会の中で、三善豆腐の平田さんに豆腐の話を、丸金の金原さんに大豆の話をしてもらい、どういう違いがあるのか、どんな風に作られているのかを聞いてもらった。参加者の方が興味深そうにしている様子や、積極的に質問してくださってる様子が伺えた。
また実際に「豆腐や大豆のことについて話が聞けて楽しかった」「こんなに味に違いがあって驚いた」といわれ、嬉しいことこのうえなかった。
平田さんがその場で作ってくれた出来立て豆腐は、参加者全員から大絶賛をもらった。
参加してくれた人も協力してくれた人も、本当にいい人ばかりだった。
イベント後に書かれたレビューではどれも絶賛してもらえて、会に満足してもらえたようで嬉しくて少し泣けた。
こんな形で小さい頃からの夢を形にできたことが、とても嬉しかった。
関係者の皆さん、心の底からありがとうございました。
【最後に】これからもおいしい会をやりたい
豆腐屋さん、大豆屋さんに「これは色んなところで豆腐と一緒に飲みたいね」と言ってもらえた。
実際にこれが正式に商品となるかは今の所まったくもって未定だ。
すでにホッピンガレージからは3本ほど商品化されているビールが出ているが、今後どうなるかは来年の初詣にでも祈っておきたいところではある。
もし、これから先に飲んでもらえる機会があれば、またあわせて豆腐や大豆の魅力も伝えていきたい。